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コンサルティング実績 講演録

 
■ 物件の価値はあがる収益で決まる 
国際CPM協会 2004年度会長
代表取締役 山本 泰然
   注目しよう!「収益還元法」
 CPMとの出会い
 アパート経営をサポートすること
 CPMは世界最高峰の不動産管理資格
 米国で生まれた収益還元法の初事例
 日本でも脚光浴び始めた収益還元法
注目しよう!「収益還元法」  

《リード》
最近REIT等の不動産証券化などが新聞紙上をにぎわし、そのなかに収益還元法という言葉がよく登場します。一般の読者の方は自分には関係のない世界の言葉のように受け取られがちだと思います。しかしそうではありません、アパートのオーナー様にとっても身近な存在なのです。今回から4回のマンスリー連載の中で、収益還元法を身近なものとして理解していただければと思っております。

CPMとの出会い

私が不動産に関わる収益還元法に出会ったのは、CPMとの出会いと一緒でした。当時私は、プロパンガス販売を本業としていました。当時のガス業界は、規制緩和の波の中で翻弄されていました。お恥ずかしい話ですが、それまではガスを紹介してくれる工務店・ハウスメーカーには、一生懸命営業していましたが、ガスを使って頂いている物件のオーナー様には何もしていなかったのです。ガスは一度入れてしまえばずっと使ってくれる、こんな考えでした。それが規制緩和を受けて、ガスの供給権が流動化してくると、ガスの切り替えを止める手段がないことに初めて気づいたわけです。

アパート経営をサポートすること

そこで、私はオーナー様へのサービスを考えるようになりました。サービスとは相手が一番求めているものを与えることです。残念ながら、私の得意なガスの分野に、オーナー様が真に求めているものはありませんでした。オーナー様が一番気にかけていることは、ガスのことではなくアパート経営・相続対策であることがわかったのです。それからアパート経営の勉強を始めたのですが、日本のどこを探してもアパート経営をサポートするような教育はありませんでした。いろいろ模索するうちに、CFネッツの倉橋社長に出会いました。彼にアメリカには不動産管理のすごい資格があり、それは私の求めていることを全て与えてくれると言われ、一緒にアメリカに行って、その資格を受ける事になりました。これがCPMです。

CPMは世界最高峰の不動産管理資格

CPMはIREM(全米不動産管理協会)が与える、世界最高峰の不動産管理の資格です。この資格を取得するためには、まず倫理の授業を受け、倫理試験にパスしなければいけません。これはこの資格の持ち主は高い倫理観を持つべきで、それによってクライアントの信頼を勝ち取れるのだ、という考え方に立っているからです。そのあと管理の実務・不動産の金融工学等の授業を8つ受け、ペーパーテストに合格した後、最終試験に合格しなければいけません。最終試験は2日間(初日は朝10時から夜10時まで、2日目は朝9時から夕方6時まで)論述形式の問題を解き続けなければいけません。ですから、CPMを持っている人は、収益還元法は当然駆使できます。さらに信用できる人たちでもあります。IREMの日本支部であるIREM JAPANのホームページアドレスを載せておきますので、是非一度見てください。(http://www.irem-japan.org

米国で生まれた収益還元法の初事例

さて前置きが長くなりましたが、収益還元法の本題に入りたいと思います。収益還元法とは、簡単に言うと、物件の価値はそこから生まれる収益で決まるものだという考え方です。この考え方は何も新しいものではなく、中世のロンドンや江戸時代の日本などでも収益還元法的考え方で物件の価値が決まっていたといわれています。しかしきちんとした手法として世に出てきたのは1970年代のアメリカです。実際に脚光を浴びたのは、1980年代のマンハッタンパンナムビルの売却が始めだといわれています。それまでは、過去の取引事例からビルの売却価格が決まっていたのです。しかし、パンナムビルの売り手は、パンナムビルの現状賃料及び今後の賃料動向予測をもとに収益還元法で売却価格を算定し、その価格で売却しました。この価格は取引事例法で算定された価格よりもはるかに高い価格だったので、非常に注目を浴びたのです。

日本でも脚光浴び始めた収益還元法

日本で収益還元法の導入が遅れたのは、長くキャピタルゲインが当たり前の時代が続いたからです。狭い国土の日本では、長く土地は値上がりするのが当たり前の時代が続きました。その世界では収益よりも土地の値上がりの影響が大きかったため、当然のように取引事例比較法というものがスタンダードだったのです。でも、今はそんな時代ではありません。そこで収益還元法が脚光を浴びてきたのです。このように書くと、収益還元法が絶対的なもののように感じられるかもしれませんが、世の中に絶対的なものは存在しません。当然のように収益還元法にも欠点があります。最大の欠点は計算が複雑なことです。計算が複雑だと、そこにトリックを仕掛ける要素が多くなります。このあとの項で詳しく説明しますが、収益還元法では複数年度にわたる物件の収益を評価しなければいけません。その中には恣意的に数字を操作できる部分が存在します。この連載では、収益還元法のカンどころをつかんで頂くことを主眼に考えています。そして皆さんに、だまされない知識を身につけて頂けるようにと考えています。